私の母は敬虔なクリスチャンでした。
娘にそれを強要はすることもなかったので、私はたまに母に付き合って教会にいくくらいでしたが、あの独特な空気って私は結構好きでした。
教会の雰囲気を作っている要素は大きく3つあり、教会の建物の雰囲気、信者の性格、神父さんの人柄。
地域に密着しそこにありつづけているのが教会と信者さん、そして神父さんって仏教のお坊さんとは違って実は派遣という形で赴任されていて、移動も多く結構入れ替わるんですよね。
そして神父さんごとに違ったアプローチでの教えを説いてきます。
聖書を中心にホーリーな雰囲気を作り出す方とか、教会からも飛び出し自らボランティア活動を精力的に行う行動派な方とか、母はそれぞれの神父さんの人柄の違いを楽しんでいたようですが、人によっては合わなくてぶつかることも、、、
信者さんからしてみれば教会は自分達の大事な場所それを守ろうとするし、神父さんは自分の信じるやり方で人を導こうとする。
それががいい感じに噛み合っていたらいいのですが、、そうじゃないこともあたったりと大変な事もあるようです。
同じ宗教であっても、どう信じ何を求めていくかというのは人それぞれ、、色々考えさせられる所がありますよね。
【ストーリー】1964年、ブロンクスのカトリック系教会学校。校長でシスターのアロイシス(メリル・ストリープ)は、厳格な人物で生徒に恐れられていた。ある日、人望のあるフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)が一人の黒人の男子生徒に特別な感情を持っているのではないかと疑念を抱くが……。(シネマトゥディ)
最近マンマミーアでハジけた新しい顔を見せていたメリル・ストリープですが、コチラの作品をみてやはりこういう役を彼女にはやってもらいたいなというのが一番思った事でした。
あるカトリック学校内でわき起こった疑惑(ダウト)そのものを描いた物語で、シスターアロイシスとフリン神父どちらが正しいのかといった白か黒かを決める物語ではありません。
それだけに、見終わって釈然としないものを残す方もいると思いますし、人によってラストの解釈はかわる物語。
真実は明かされないだけに、戦い続けたアロイシスの苦悩と、シスタージェイムズの惑いも終わらず、観る人に信仰とは何なのだろうと考えさせているように思ました。
シスターのアロイシスとフリン神父は、カトリックという宗教がもつ二つの面を表現しており潔格で清貧な厳高な側面と、慈愛と許容といった側面。
歴史的に前者の側面がカトリックの権威や神秘性を高めていき、後者側面が神父自らが未開の地へ踏みだしキリスト教を広めていったという流れがを作ってきたように思います。どちらもカトリックが発展していくのに必要な要素であるものの、真逆な意図を持つことがあり狭い組織の中においてはぶつかっていくのは仕方がないことです。
前者は宗教は人々を超えた存在でだからこそ人々を導き諫める事ができるとし、後者は宗教は人々の身近な物とし苦悩や喜びを共に乗り越えていくものとしているように感じます。
宗教の厳格さを好むシスターアロイシスにとって、おそらくは疑惑の問題だけでなく信者と同じ所に立ち笑い時には抱いているフリン神父は堕落した存在にしか思えなかったのでしょう。
だからこそ自分の学校を守るためにはフリン神父を追いやるしかなく、コレほどにないフリン神父の罪の疑惑に彼女がすがってしまったように思いました。彼女なりの学校への愛と固執があそこまで行動させ神父を追い詰めたものの 彼女の中の迷いがあのような釈然としない決着へと行き着くことになります。
流石メリル・ストリープというか、職務に誇りをもち信念をもって生きている面と、惑いや悩みを秘めた人間的な面を見事に演じきっているんですよね。しかもそれを受けるフリン神父演じるフィリップ・シーモア・ホフマンの複雑な演技が素晴らしい。
その二人だけでなく間に立ち揺れ動く無垢なシスタージェイムズ、まさに俗世間そのものの中で生きているミラー婦人、この4人の存在が素晴らしく物語を効果的に表現した脚本とキャスティングの良さにに思わず唸らされてしまいます。
映画ファンにとってこういう、役者が良い感じに共演している映画って観ていてなんか嬉しくなってくるものありますよね。
脚本は非情に良くできていますし、この二人の演技みるだけでもこの映画の価値があるように思える作品です。
話は全くかわりますが、、、、
レオナルド・ディカプリオとフィリップ・シーモア・ホフマンって顔似ていませんか?
この映画をみて穏やかな中に内に何か熱いものを秘めているフリン神父の演技をみていて、顔が良くて似ているなと思ってしまいました。
もしかしてレオナルド・ディカプリオって年取ったらこんな感じになるのでしょうか??

評価 ★★★★☆
監督・脚本・原作 ジョン・パトリック・シャンリー
製作 スコット・ルーディン / マーク・ロイバル
製作総指揮 セリア・コスタス
出演 メリル・ストリープ
フィリップ・シーモア・ホフマン
エイミー・アダムス
ヴィオラ・デイヴィス
アリス・ドラモンド
オードリー・ニーナン
スーザン・ブロンマート
キャリー・プレストン
ジョン・コステロー
ロイド・クレイ・ブラウン

この記事に対するコメント
風情♪さんへ
どの宗教でもそうだろ思いますが、所詮人間によって運営されているから、解釈や信仰への考え方の違いにより若干のズレって出てきてしまうものですよね。
正しいとか間違いとかがない問題だけに悩ましいものですよね。
この作品で描かれているのも一見背信行為への糾弾のようで、実はその部分。
聖職者を人間として描いたことで、見る側により訴えかけるものと仕上がったように感じますよね!
メリル演じるシスターは、強い信仰心と人間らしい迷いのある部分そこを見事に表現していて、、彼女の凄さというのを見せ付けられました!
うーん これでオスカーとれなかったって、、ケイトはどんな演技していたんでしょうね~
こんにちは♪
冒頭の文章、ですがやっぱりこう言うのって、現場に
身近にいた人じゃないと感じ得ないことなんで、すご
く興味深くよませてもらいました。
事に関わった4人の俳優さんの演技は素晴らしかった
ですが、M・ストリープはズバ抜けてましたね。
当初の神父を追い詰める苛烈さとラストで見せた弱さ
の表裏の演技にオスカーノミネートも十分以上に頷け
ると言ったところでした♪ (゚▽゚)v