うーん アンジェリーナ・ジョリーこの作品でオスカーとれませんでしたね~
受賞した作品をまだ鑑賞していないので何ともいえませんが、、ケイト・ウィンスレットとメリル・ストリープはそこまでオスカー独占しなくてもいいじゃん!と思ってしまう部分もあるので、今回は是非アンジ-に受賞してもらいたかったので残念です。
アカデミー賞については色々語りたいことはあるのですが、これくらいにして、、さて『チェンジリング』ですが。
クリント・イーストウッドって、やり過ぎずシンプルに物語を見せるのが上手い監督ですよね。
見せるべきもの、そしてその描き方といったものをしっかり分かっているために観る側も、素直にその物語を受け入れて見ることができます。
コチラの世界、真実の物語であるものの、『警察が「コレが行方不明の息子です』赤の他人を母親に押し付け、それに異を唱えたら今度は無理矢理精神病院に強制的に入院させて事なきを図った』という今考えるとそれが実話だと思えない内容、それをリアルに描きつつ必要以上に残忍さや悲惨さを出さすにかなりクールに抑えた形で上手く描き出していたように感じました。
【ストーリー】1928年、シングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、ロサンゼルス郊外で9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)と暮らしていた。ある土曜日、彼女は同僚に泣きつかれて断り切れずに休日を返上して仕事へと向かう。暗くなって彼女が帰宅すると、家で一人で留守番をしているはずの息子の姿はどこにもなかった。(シネマトゥディ)
この映画を観る前に、ロサンゼルス市警がクリスティンに行った不正行為のほうではなくこの映画で直接描かれていない、クリスティンの息子が行方不明になったという『ミラ・ロマ殺人農場』事件についての記事を読みそのあまりにも陰惨でおぞましい事件に言葉を失ってしまいました。
コチラの作品にも登場する事件の犯人であるゴートン・スチュアート・ノースコット異様な人物だというのは臭わせているものの、いまいちよく分からない方も多いでしょう。
その本質はマゾヒストな面も併せもった狂気でサディスティックな同性愛者の強姦魔の殺人鬼。幼い頃から母親に溺愛され女装を強いられ、父親から性的虐待をうけるという異様な環境で育ったことも原因なようですがそんな人物に誘拐された、息子のウォルターをはじめとする少年達がどんな目にあったから想像できますよね。
彼の為に、イメージが悪くなりすぎて街の名前までをかえてしまった程アメリカで大騒ぎになった事件でした。
コチラの事件をメインに映画化したら間違いなくスプラッターホラーな内容でR指定間違いない別の映画になってたことと思います。
そんな事件から生まれたもう一つのこの事件。
なんでそんな事がまかり通るの?あり得なくない?と思う人も多いと思います。
様々な映画でも描かれているようにでもこの時代っていろんな意味で狂っていて、実際警察と政治が腐敗していたこともありそういう時勢をうけてか気持ち悪い事件も沢山起こっていた事も確かなようです。
それだけ無茶が普通に通っているといた事自体恐ろしい話。
そんな全てが狂っている時代において、歪んだ欲をもった殺人鬼、マスコミ向けの美談作りを欲しがる警察、警察の腐敗を世に知らしめようとその証拠集めに奔走する牧師と様々な思惑にが錯綜する中で翻弄さつつも正当な事を求め冷静に行動する真っ当な感情をもったクリスティンの姿がより際だっています。
感情的になろうとしている自分をコントロールしつつ冷静に事態をみて戦うクリスティン、アンジェリーナ・ジョリーが演じたからこそだせたこの母としての深みと美しさ。
逆にいえば、彼女が演じたからこそ、大変な事件を如才なく纏めた感のあるこの映画に重厚感を与え見応えのあるものにしていたように思います。
アンジェリーナ・ジョリーってやはり素晴らしい女優さんだというのを再確認できる作品です。
【オオブタさんの一言】あの陰惨な事件をよくここまでスッキリと爽やかに纏めたなと思う。アンジェリーナ・ジュリーの演技で見せてたけれど、思ったよりも世界に深さがなかったように感じた。
ラスト爽やかな彼女の笑顔で終わったけれど、その時発した言葉について考えさせられる
パンドラの箱の最後に残ったものと同じ『希望』。それが彼女に幸福をもたらせるものなのか?ある意味一番残酷なラストではないかな、、。

評価 ★★★★☆
監督・製作・音楽: クリント・イーストウッド
脚本: J・マイケル・ストラジンスキー
出演 アンジェリーナ・ジョリー
ジョン・マルコヴィッチ
コルム・フィオール
デヴォン・コンティ
ジェフリー・ドノヴァン
マイケル・ケリー
ジェイソン・バトラー・ハーナー
エイミー・ライアン
ガトリン・グリフィス
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この記事に対するコメント
なるはさんへ
コメントありがとうございます!
こういうことが、本当に起こったということが恐ろしいですよね。
とはいえ、、権力をもった集団が間違えた形でそれを公使するということの怖さをヒシヒシ感じでしまいました。
でも、そういったいろんな意味で心を凍らせる事件の中で、アンジ-演じるヒロインの真っ直ぐさが観ていて清々しく気持ちよくちょっと観ていて救われました。
アンジ-に賞を是非とってほしかったですよね!
こんばんは~。
私も観ました。
こういうことが実際に起き、
危うくまかり通ってしまうところだったことが恐ろしいです。
私もアンジェリーナに獲ってほしかったです。
ノラネコ さんへ マサルさんへ
ノラネコ さんへ
本当にあっと言う間の2時間20分でした~
イーストウッドの作品って、無駄な所もないし、余計な所もない所も凄いと思ってしまいます。
この映画、本当の事件です と書いておかないと
絶対に信じてもらえない内容ですよね。
まだ社会的接触のほとんどない、赤ちゃんならともかく、学校にもいっているような子供を誤魔化そうなんて考えられませんよね。
マサルさんへ
お疲れ様です。大変でしたね(><)
コメント返しとかお気になさらずに、時間があるときに遊びにきたよ~みたいな感んじで来て下さればいいですので(><)
映画でも本でも、一気に同じ作家の作品を観るという形で楽しむのって楽しいですよね!
このままイーストウッドリレーですか?(^^)
こんにちは
「早くコメントせねば」と思いつつ、昨日は東大入試があったりして遅くなりました。例年より難しくてなかなか終わらなくて..orz
この映画、受験期に(体力・睡眠時間的に)少々無理して行ってきたんですが、眠くなるなんてことは全くなく、一気に物語に引き込まれました。みなさん仰る通り、アンジェリーナ・ジョリーの鬼気迫る感じの演技が凄くて圧倒されちゃいました。
「権力を持った組織は腐敗するものだ」というのは、人間が人間である以上避けられないものなので、結局はチェック機能をしっかりと持たせるしかないんですよね。イーストウッド作品は、一昨日に「許されざる者」を観てまたまたシビレたので、これから未見の作品を観るのが楽しみすぎます。(^^;
こんばんは
グイグイ引きこまれました。
2時間20分もあるのに、まったく無駄な部分が無いのが凄いです。
しかしこんなゴシップ誌のトンデモ記事みたいな事が実際に起こったという事がびっくり。
あの警部は本当に誤魔化し通せると考えていたんでしょうかねえ。
ジグソーさんへ
ミスティック・リバーもそうでしたが、クールにシンプルに物語をみせますよね~いつも!
背景になっている 誘拐事件って、予告編とか映画紹介ではまったく見えてこない内容だけに、観てからビックリする人も多そうですよね。
私もこおの事件を特集している記事を読んでビックリしてしまい。逆にクリスティンの物語がどう纏めるのかな?と気になってしまいました。
「グラン・トリノ」も キレっぷりがいいようですよね
私も楽しみです~
どうも!
途中から別の事件が見え始めた時はいったいこれが何の関連があるんだ?と思ってたら、気づいた時には1つになっているという見せ方がうまかったですね。
確かに書かれているようにイーストウッドってシンプルに描くので過度な演出は無いのに、ここまでインパクトのある話を作るので本当にすごいですよね。
「グラン・トリノ」も期待しちゃいます。