Date:2009/02/18 20:53
コチラ、予告編みた瞬間に惚れて、公開する日を今か今かと待ちわびていた作品です。
キム・ギドク監督が描く『胡蝶の夢』な世界に思いっきり魅せられてしまいました。
幻想的で美しい世界に引き込まれるよいうか、絡め取られるそんな感じです。
映画全体が美しい詩のような幻想的な作品でした。
【ストーリー】ある晩、ジン(オダギリジョー)は元恋人の車を尾行していて、突然脇道から飛び出して来た車に追突する夢を見る。そのあまりのリアルさに胸騒ぎを覚えて記憶を頼りに車を走らせると、実際に彼が夢で見たのと寸分違わぬ事故が起きていた。そして、監視カメラにはラン(イ・ナヨン)という女性が事故車を運転する姿が写っており……。
(シネマトゥディ)
実はキム・ギドク監督の作品はコレが初めて。でもこの作品をみて他の作品を観たくなりました。
とにかくこの作品、美しいの一言!
愛や夢を美しく描ける監督は他にも多くいると思うのですが、怒り・憎しみ・痛みといったドロドロとした感情までもこんなに美しく描ける監督ってそんなにいないのではないでしょうか。
劇中に使われる『白黒同色』という言葉にあるように、ジンが過去の女性に向ける未練と執着、ランが過去の男に対する拒絶と憎しみ真逆なようで同じ激しい感情からくるもの、その二人の激しい想いによって紡ぎ出される夢は現実をも浸蝕していき、愛と憎悪 夢と現実 男と女 韓国語と日本語 悪夢と佳夢 すべての要素の境界線が曖昧となり同色に染まって解け合っていくいくそんな世界に見入ってしまいました。
極力色を抑えた風景の中で、印象的に使われる色が天色(鮮やかな青)と猩々緋(くすんだ赤)の二色。
天色は主人公ジンのイメージカラーとなっていて(使われ物語の始まりとなる夢を見るベットカバーの色もコチラ)、猩々緋はヒロインであるランのイメージカラーとして表現されているようです。その二色が次第に相手を染めていき交わっていく表現が秀逸、そしてラストそれぞれが解放されるシーンでもこの色が重要な意味をもっていて、時ランは天色のアイテムを使い、ジン行動し後頭部に猩々緋の色が広がります。そして二人が混沌とした世界から開放されるラストをみて私自身の何かも解き放たれたような不思議な静かな爽快感があり決してハッピーエンドとはいえない物のはずなのに気持ちよかったです。
この作品の秀逸な所は、多国籍な役者を使ったときに問題となる言語の問題を意表をつく形で解決させているところです。
日本人であるオダギリジョーは、なんと日本語の台詞を普通に使い、イ・ナヨンを始めとして韓国語を使っていて、異なる言語であるはずの彼らが普通に会話させるという方法をとっています。
その言語が、聴覚的にも不思議で幻想的な世界を作盛り上げていたように感じました。
なので、コチラの作品もしかして、韓国人と日本人が一番楽しめる作品なのかもしれません。
万人向けとはいいませんが、こういう叙情的で静かでディープで美しい映画って私は大好きです!
ヨーロッパ映画で特にフランス系が好きな方は、大満足だと思います。
不満があるとしたら、、この映画、、こんなに素敵なのに、、シネチッタにおいて中途半端な時間で一日2回のみの公開、、。
なんで!!

評価 ★★★★☆


監督・脚本 キム・ギドク
プロデューサー ソン・ミンチョル
撮影 キム・ギテ
出演 オダギリジョー
イ・ナヨン
チア
キム・テヒョン
チャン・ミヒ
この記事に対するコメント
とらねこさんへ
コメントありがうございます!
あらら 甘いレビューですか(^^
コレ駄目という人も多いのは、分かりますが私はツボだったんですよ~♪
トラネコさんのブログでも かなり好印象な内容で嬉しかったです。
それぞれの部屋の世界とか、シーンシーンが美しかったですよね~
色の使い方とか、惚れ惚れしてしまいました♪
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こんばんは、コブタさん
本当、夢みたいで、現実と非現実、夢と非夢(これが元のタイトルだったみたいですね)が錯綜するんですよね。
“白黒同色”って彫り物を彫り続けるオダギリジョーの姿とか、部屋の飾りとか、見ているだけでなんだか楽しかったです。
手錠で繋がれて眠るっていいなあ、とか、ボーっとしながら見ていたい気持ちになりました。
この作品、本当評判が良くないので、コブタさんの甘めなレビューにすごく慰められました。
なんかすっごく嬉しいです。