
石井克人監督は、私の大好きな日本人監督の一人!今までの作品どれもコブタのツボにはまりまくりで、それぞれ違った味わいをもっているのに関わらずどれも、好きな映画の一つとなっています。
石井克人監督というと、独自のテンポとユーモアセンスをもっていて斬新な映像や発想が持ち味の方なんですが、今回の作品は独自なテンポとユーモアはあるものの斬新さとは真逆な世界。でも今の時代だと逆にそれが新鮮に感じるのも面白いものですよね。
最近映画の中で日本人が忘れていた世界や感覚を呼び起こしてくれるそんな映画でした。
【ストーリー】目の不自由な按摩(あんま)、徳市(草なぎ剛)と福市(加瀬亮)が温泉場へと徒歩で向かっていると、2人の横を東京から来た三沢美千穂(マイコ)を乗せた馬車が通り過ぎていく。宿屋に呼ばれた徳市は、客が馬車の女と直感。美千穂の様子にほのかな恋心を覚えた。しかしその翌日、宿屋で宿泊客の財布が盗まれ、犯行時刻付近に宿にいた美千穂が疑われる。(シネマトゥディ)
コチラの作品清水宏監督が1938年に制作した『按摩と女』をカヴァーしたもの。
通常音楽の世界においてのみ使われるカヴァー、映画ではリメイクと表現されるのですが、あえてカヴァーと表現する石井克人監督のこだわりことがこの映画の見所のとなっているように思います。
石井克人監督が作りたいのは、石井克人監督の『按摩と女』ではなく、清水宏監督の『按摩と女』そのもの!
石井克人監督の感覚で、一緒に清水宏監督の作品を感じるという面白い疑似体験が出来ます。
あえて入場料を1000円にしたのも、自分が『按摩と女』を観て感じた心地よさを是非是非多くの人に観てもらいたいという気持ちの現れてでもあるのでしょうね。
物語は、山の中にある湯治場そこで按摩をやっている男と、何か秘密を抱えた女、そして甥っ子をつれて里帰りした男の4日間程のの生活を切り取ったというもの。
連続盗難事件はあるものの、現実世界から切り離された山奥の湯治場独自の牧歌的なゆるやかな時間が流れていて、映画を観ているというか登場人物とともに湯治場でのんびりとした時間を過ごしているという感覚で観るという感じ。
草薙君演じる徳市も、加瀬亮演じる福市、マイコ演じる三沢美千穂、堤真一演じる大村晋太郎、広田良平演じる大村研一とそれぞれがいい演技をしているのですが、出しゃばったところがなく世界にじわーと溶け込んでいい味を出しています。
温泉と森林浴と純文学的な透明感ある心地よい世界それらが同時に楽しめなんとも癒される!いろんな意味でいい映画だったと思います。
人によっては、大きい事件とか、派手なエピソードがあるわけでもない、怒濤の感動を脇起こすというのでもないコチラの作品、退屈という人も多いかもしれません。
でもこれはそういうのを期待してみるのではなく、みて世界に身を委ねて漂うそれが正しい楽しみ方です。
温泉とか最近いってないな〜癒されたいな〜とか思っている方にお勧めです。

評価 ★★★★☆


監督・編集: 石井克人
出演 草なぎ剛
加瀬亮
マイコ
広田亮平
津田寛治
三浦友和
堤真一