『戦争』の反対とは、皆さんは何と考えるでしょうか?
普通に考えれば『平和』です。
しかし、映画「RENT」ではそれを「クリエイティブ」と歌い、この作品においては「セックス」と声を大にして述べています。
そのセックスというのも、ただ快楽のみを求める現代的なものではなく、楽園を追い出されるアダムとイブの時代の本能により心が求めるまままのより動物の近いとももいえる古代的な牲。
そんな原始的な愛の姿を、病んだ現代の世界へとぶつけることで生まれる未来は、宗教や思想や国家が掲げる平和な未来より人間的に思えるのも面白いものですよね
【ストーリー】日本の西端にあるさびれた村が出生率日本一になった。その記念すべき出来事から14年前、新聞記者の一八(田口トモロヲ)はこの村に左遷される。風変わりな村民の中でも、世界平和のために縄文人の性欲を研究する元過激派の仁瓶(石橋凌)は格別だった。そして一八が来た日から、彼ら村民に波乱が巻き起こる。(シネマトゥディ)
愛というか、セックスで世界を救えるのかというのを描いたこの作品、そう一言でいうと物凄くヤラシイ映画に思えそうですが、大人な要素をもった滑稽でほろ苦な味わいのあるファンタジーです。
ここで描かれるセックスが邪な感情で生まれるセックスでないことと、子供の語りで物語が進められていること、スズキコージ氏の独特な味わいのあるイラストをモチーフにしたアニメーションを織り交ぜた映像、アッケラカンとした明るさとユーモラスさのある会話や演技により、上手くセックスというものの淫靡さを取り除いてあり、観客が明るく脳天気にセックスというモチーフに向き合うことができるようにできていました。
舞台となる要村は政治的感覚0で人望も0で心の奥底で欲求不満を抱える村長、カルトな権力を持ち、それに酔いしれている神主、ロリコンの校長がいるのでも分かるように、政治も宗教も教育と本来人間社会を構成する大事な要素が既にダメな状況。
そんな現代的な俗だらけの村、エロ爆弾が大爆発し、かつて人間を楽園の外へ誘った蛇が、こんどは楽園へと村人を誘なう、そのオチに感心してしまいました。
エロ・ギャグ・サスペンス・オカルト・ファンタジーとあらゆる要素が盛りだくさんで、さらに幸福論、愛、性、政治、思想、社会、宗教論といった一見小難しく衒学的に思えるようなテーマまで盛り込んできているのに、すべてをやり過ぎない程度に収めている匙加減が素晴らしいです。
まあアッケラカンとした脳天気なノリと明るさで表現しているために、細かいことアレコレ考えることすら馬鹿な気にさせ素直に楽しんでしまったのかもしれません。
ただ、、このノリの映画で観客を楽しま続けるには、上演時間がちょっと長すぎたように感じます。
基本的に全編通して同じタイプの笑いを用意しているだけに、それだけ長い時間見せられ続けると慣れてきて笑いに繋がらなくなってしまうんですよね。
もう削ってくれたほうが、映画のもつ要素がいい感じに締まってもっと印象を強くできたのではないのかなと思うだけに残念です。
でも、 観てなんともいえない暖かさと幸福感をもらえるこの映画結構ツボでした。
それに、こういういろんなモチーフを鏤めていて、後であれこれそれらをアレコレ拾って考える事が出来る映画って好きなんですよね(^^)コブタのレベルにあった馬鹿さと知的さのバランスがいいのかも!
【オオブタさんの一言】なんともお馬鹿な世界感とかは面白い!
ただ、この内容で160分という時間は長すぎる!もう少し短く纏めてもよかったのでは?

監督 天願大介
出演 田口トモロヲ
月船さらら
市川春樹
松岡俊介
佐野史郎
柄本明
三上寛
石橋凌
美知枝
斎藤歩
江口のりこ


この作品みて、全然テーマもアプローチも違うのに、頭に蘇った映画2作です。
「パヒューム」は物事をとことん突き詰めたら人間はどうなる?という面での結果がコチラの作品に通じることがあります。
「ショートバス」は違ったアプローチでセックスをテーマにした映画です。
幸福とセックスとの関係を描いているので比べてみると面白いと思います。










この記事に対するコメント
風情♪さんへ
これ 最高でしたね!確かにラストのモタツキがもったいないのですが、それ意外の要素はかなりツボにはまってしまいました!
エロとか屋らしさって、もう少し淫靡なほうがヤラシク感んじるのでしょうが、ああまでアッケラカンとしていると、こっちもアッケラカンとした気持ちで観てしまいますよね(^^)
なので無防備になっているだけにすんなりテーマとかいったものが観ている側に伝わってくれたように思いました~(^^)
こんにちは♪
エピローグの最後の方はかなりダレきってしまいました。
この部分だけでも、もうちょいコンパクトにまとめても
らえたら、更にオモシロく思えたと感じましたね。
エロの部分も下世話&お下劣では決してなく、すんなりと
受け入れられたのが、驚きでした♪ (゚▽゚)v
睦月さんへ
これ 最高でした!
コレみていると、人間って幸せになるのってもっと簡単なのでは?というポジティブな気持ちになりました
凄い良かっただけにその為だけに、その長さのため、だらけてしまったのが勿体ないと思いました。
この作品、男性に比べて女性がだれもが大物で魅力的でしたよね!
それぞれ違った輝きを見せていて素敵でした(^^)
こんばんわ
160分は長い・・・長すぎましたけれど、それでもかなり面白く観れた1作でございました。
これまでの邦画で、SEXをここまであっぴろげなテーマにして、愛とか平和とかを訴えた作品って観たことがなかったような気がするので、新鮮な気持ちで観ることが出来ましたです。
輝子役の女優さん、〆子役の女優さん・・・大胆で美しく、大変素晴らしかったと思います♪
二純さんへ
屈折しているようで、かなりテーマやメッセージはストレートに伝えてきていましたよね!
確かに今現在、社会が複雑になるにつれて、すべてが無駄に複雑になってしまい幸せになるのかなり面倒になってきているというのがありますよね。
それだけに、思考を爆発させてリセット!そして前に進む、そんな元気をくれる所から、映画自体もエロテロなのかもしれませんね(^^)
映画は屈折した見せ方をしてますが、21世紀に人が幸せに生きるための指標的な作品になっていたと思います。奇抜なドラマだけどメッセージは真っ当である意味この作品は事件であり文化ですよ(笑)!