とっても観たかったものの、公開時にタイミングを逃し観られなかったコチラの作品、DVDを購入する事でようやく観ることができました。
『ノッキン・オブ・ヘブンズ・ドア』『パフューム ある人殺しの物語』『ラン・ローラ・ラン』『REVOLUTION6』といい、ドイツ映画ってあまり日本に入っていないこともあるのでしょうが、傑作が多くコブタのツボに嵌る映画が多いようです。
独特の哀愁とやさしさとほろ苦いユーモアをもった世界感をドイツ映画に感じます。
激しい爆発的な感動ではなく、じわーと心の奥からわき上がってくるような感動をもらえます。
【ストーリー】シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)と恋人で舞台女優のクリスタ(マルティナ・ゲデック)が反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。ヴィースラーは盗聴器を通して彼らの監視を始めるが、自由な思想を持つ彼らに次第に魅せられ……。(シネマトゥディ)
コチラの作品は東西分裂時、東ドイツで実際行われていた、芸術家を翻弄した監視体制による弾圧と思想統治の様子を描いているのですが、観て感んじるのがその非人間的な状況への怒りではなく、武器ではなく自由への想いの心で行動する人間の力。シュタージによる非道な行為
非人道的状況下で、失われることのない自由への思想、そういうポジティブな思想は国への忠誠心と社会主義の思想で凍り付いていた男の心を静かに揺り動かし溶かしていく様子が心地よいです。
決して強くはなく体制に服従の姿勢を貫いていたものの友人の死、恋人への愛、友情などによりペンを手に拳を挙げていく劇作家のドライマン。
国家を信じ理想に燃えシュタージにいたものの、監視しているドライマン等のアーティストたちの純粋さと、体制を作っている上層部のあまりにも欲に満ちた姿を見ることで心を揺らしていくヴィースラー。
盗聴監視という歪んだ形ではあるものの二人の中で生まれる奇妙で静かな友情の物語に引きこまれてしまいます。
映画が進むにつれ、接触しないのに二人が触れあっていく様子を、(盗聴というシチュエーションだったせいでしょうか?)つい息を潜めて見守ってしまいました。
馴れ合わず、かといって裏切ることなく、でも確かに相手を感じそして想う、、、そんなドライマンとヴィースラーの距離感が絶妙です!。
ドライマンにとって創作することが命でありそれを続けて貰いたいがために行動するヴィースラー、そして創作することでヴィースラーに想いを返すドライマンその二人の絆が完全に繋がった所で終わりを告げたときに、なんともいえない幸せで暖かい涙が出てきました。
顔をつきあわせて抱き合うことはないのに、二人の体温を観客は感んじることのできるそんな作品でした。
【オオブタさんの一言】派手さはないものの心地よい懐の深さを持った作品。
ただ もう少しタイトルにもあった『善き人のためのソナタ』を聞かせてもらいたかったかな。

評価 ★★★★☆
監督・脚本: フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演 ウルリッヒ・ミューエ
マルティナ・ゲデック
セバスチャン・コッホ
ウルリッヒ・トゥクール
トーマス・ティーメ
ハンス=ウーヴェ・バウアー
フォルクマー・クライネルト
マティアス・ブレンナー


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この記事に対するコメント
ボレロさんへ
コメントありがとうございました~
ドイツ映画って、 なんか好きです。
コチラのそういう悲しいドイツの歴史の中でも、相反する立場の人間同士が作り出す、友情の形が暖かく、心地よい気持ちにさせてくれました。
お久しぶりです。
コメント返すの遅れて済みませんでした。
丁度、この映画見たばっかりだったんで、コメントさせてもらいますね。俺も良い映画だと思いました。音楽で救われる心理描写の描き方や最後の心温まるような演出。そしてドイツの歴史。なんていうか最近観た映画の中ではホント久しぶりに良いなって思いましよ。