Date:2007/10/30 12:33
現在お笑いDVDというのも何気にブームになっている、様々な芸人やバライティー番組のDVDが発売され、売り場でも一つのコーナーを作り上げている。
このDVDもそんなコーナーに並んでいる一つ。
しかしかなり趣が違っていて、みて「うーん」と思わす唸ってしまうほど深い真面目な内容で凄いDVDだった。
内容は、立川談志と太田光が狂気と芸術について語りあうというもので、表現者としていかにタブーと向き合っていくか、また大衆はタブーを如何に感じているのか、芸術と芸能についてを真面目に語り合っているというもの。
二人はお笑いとしての視点で語っているものだが、一般のあらゆる表現物に通じる内容で、タブーな内容を表現者はどう判断し形にするのか、また見る側はそこに何を求めて見ていくのか?
またある一線を越えたものをすべて芸術作品と一括りにされがちなものの、その真の価値は誰のためで何なのかということについても問いかけている。
嫌悪なのか、それを見ることによって快楽を感じ作品の中において代行させ自分の欲望を抑制させるためのものなのか、また理解を超えたものを論理的に理解していることで自己顕示欲を満足させるのか、そういったものに向き合う大衆の姿勢についても言明している。
そしてこの対談を踏まえた上で、「黄金餅」「らくだ」の二演目の口演を見せている。
この二つの演目は私も初めて聞いたものでどちらも死・貧困・欲といった要素が根底にあり、私には笑えるものではないものの印象深い。
どちらも、死体を巡って貧じい人達が右往左往するという内容で、死者を冒涜し、はてまでは死体損壊まで及ぶ非道徳的なもの。
しかし登場する人物はどれも人間的で、自分の欲のために素直に行動していて談志師匠が演じることで可愛らしさすら覚えてくる。

落語とかまったく知らない興味ないという人でも、あらゆる表現物と触れあっているだけに、多くの人にこのDVDを見てほしいなと思った。
表現する側だけではなく、受け取る側としても色々考えさせられる内容なので、見てそして感じて色々考えてもらいたいDVD。
評価 ★★★★☆
出演 立川談志
太田光


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この記事に対するコメント
全ても答えは落語にある。
2つの鬼才の対談が通常の「まくら」部分となって各演目に入る構成は、落語映像の新たな可能性であり、立川談志と太田光の2人だからこそ可能な表現になったと思います。
故人的には特典映像の「鼠穴」はよくて、兄弟2人の物語がとても泣かせるんですよね。落語ならではのオチで、ドンデン返しの連続で楽しめました。