どんな大義名分があろうと、禍根を残さない殺人はないということを分かりやすく教えてくれる映画。
正直いって、この作品の予告編を初めて見たとき、今この時期によくこの作品を作ろうと思ったなと思った。アメリカの対テロの政策も失敗とされブッシュ政権も危うくして 問題点ばかりを取りざたされている状況下、アメリカにおいて中近東のテロを映画のネタとして選ぶのはややリスクが高いような気がしたからだ。
実際みてみると、ハリウッド映画にしてはグローバルで落ちついた視点で物語を描いていたように思った。
サウジアラビアの外国人居住区において死者100人負傷者200人以上という多くの被害者を出した陰惨なテロが起こる。その被害者の中には、FBI捜査官の主人公ロナルドの同僚も含まれていた。
すぐにも調査に現地にとびたいものの、統治能力の弱さを認めたくないサウジアラビアとそれを容認するアメリカの外向的思惑によって阻まれてしまう。
ロナルドたち4人は裏の手を使い、5日間のみという期限付きで現地での調査を許可されサウジアラビアに飛ぶが、そこでの待遇は招かざるやっかいな客扱いで、厳重な監視下で自由に動く事も出来ず、何一つ調査らしいことも出来ないまま時間は過ぎていくのだが、、、
という感じで、今までのテロリストと戦うアメリカの国家組織ものとは大きく異なり物事はアメリカ主導では進んでいかないということ。アメリカもサウジアラビア国家的には大々的に動こうとはしない。
国家というより、個人の想いでテロリスト逮捕への行動が始まる。
国家、宗教というより 個人というスタンスが強く、テロという行為に人種ではなく、アメリカ、サウジアラビアの人が個々で憤りを感じ行動していく。
主人公、被害者となった同僚、一緒に調査を進めるサウジアラビアの警察官、テロリスト全員に家族という存在を出し立場こと違えど、加害者、被害者が同じ人間であることを強く強調していた。
FBIの4人の精鋭が、サウジアラビアにいって憎きテトリスとを追いつめ殲滅するという
物語は一見いつものハリウッド映画のように思われるが、その4人の行動が実は正義や職務の為ではなく、仲間を殺されたことの復讐心。
その憎しみの想いが、新たなる憎しみを作り上げていく。
国のトップは根本的な問題を解決しようともせず体裁だけの平和を歌い、個人レベルでは次々と悲しい憎しみの連鎖が拡がっていく様子をクールな視点で描きあげている。

ハリウッド映画らしい派手さを期待していくとややガッカリするかもしれないけど、非情に真面目に作られた作品だとは思う!
ただ、、なんかグイグイ引き込まれていくようなものがないのは残念です。
評価 ★★★☆☆
監督 ピーター・バーグ
出演 ジェイミー・フォックス
クリス・クーパー
ジェニファー・ガーナー
ジェイソン・ベイトマン
アシュラフ・バルフム
アリ・スリマン


この記事に対するコメント
ノラネコさんへ となひょうさんへ
ハリウッドにしては、かなり抑えていたかなと私は思ったのですが、、
あらら、ノラネコさんには、これでも派手でしたか。
描きたいことを真面目に描いていたなと思いました。
サウジって日本人の私たちからしてみても未知な世界ですよね。
となひょうさんへ
シリアスで真面目に作られていてそこは好感を覚えました!
面白いことは面白ろく引き込まれる所もあるのですが、このテーマならもっと深いものが作れたのではないのかなという気がして、観るほうとしては欲張りになってしまったみたいです。
あ、、よかった!!テンプレ「SAW」だと分かってもらえて、、(><)
でも、、今回いつものイラストレーターではなくペイントソフトを使って描いたのですが、、可愛くないんですよね、、 (^△^;
こちらにもー
おや、やっぱり人によって受け取り方が違うんですね。
私はグイグイと引き込まれましたー。
多分、私だけでしょうけど。シリアスな部分にも惹きつけられましたが、本作からはもの凄い【男の色気】をキャッチして目がハートになっておりました。
テンプレートがジグソウになってる・・・笑
こんばんは
うーむ。私はむしろ派手すぎと思ってしまいました(笑
描きたい事はそれじゃないだろ、と。
まあサウジアラビアというモチーフ事態が、ハリウッド映画にはほぼ未知の存在なので、頑張っていると言っていいのかもしれませんが。