この時期公開の作品で、良質な作品であると自負している映画についてくる映画のコピー「アカデミー賞有力候補!!」の文章。
この作品も、コピーにその文字がついていたものの、蓋を開けてみたら、どの賞にもまったく掠ってもいなかったという、なんとも悲しい作品だったりします。
もともと群像劇が好きなのと、逆に何故漏れたのか?というのを確認するためにも観に行ってきました。
1968年6月5日、アメリカ大統領最有力候補 ボビーことロバート・F・ケネディーが暗殺される。
その16時間前から現場となった LAアンバサダーホテルにいた16の人物の様子を描いた物語。
不条理な勤務態勢を強いられ怒りを抱えたメキシコ系の従業員 ホセ(フレディー・ロドゲリス)とミゲル(ジェイコブ・ヴァルガス)
人種差別主義者の厨房の層責任者ティモンズ(クリスチャン・スレーター)
様々な偏見による苛立ちを乗り越え達観した視点で周囲をみつめている黒人料理長エドワード・ロビンソン(ローレンス・フィッシュバーン)
仕事を辞めてなおホテルの世界かた抜け出せずにいる元ドアマンのジョン・ケイシー(アンソニー・ポプキンス)と元同僚のネルソン(ハリー・ベラフォンテ)
ケネディーが落選したら徴兵されベトナムへ行かされるという将来への不安を抱えドラックを好む選挙の新米ボランティアのクーパー(シア・ラブーフ)とジミー(ブライアン・ジェラーティー)
独自の神論をもつヒッピーの薬の売人フィッシャー(アシュトン・カッチャー)
平等な視線をもつ善意の人物だが、電話交換手と浮気をしている支配人エバーズ(ウィリアム・H・メイシー)
ホテル付きの美容師ミリアムは、訪れる客のよき相談相手になっていた。
軍人一家の両親の反対をうけながらも友人をベトナムに行かせないために結婚をすることにしている花嫁ダイアン(リンジー・ローハン)
ベトナムへ行かないですむようにダイアンと結婚することにするものの、ダイアンの大事な夢を犠牲にしていることに結婚を躊躇する花婿ウィリアム・エイバリー(イライジャ・ウッド)
下らない電話ばかりにうんざりしている電話交換手のアンジェラ(ヘザー・グラハム)は不倫の恋を終わらせる、その様子を見守っている同僚のパトリシア(ジョイ・ブライアント)。
ニューヨークの実業家ジャックスティーブンス(マーティン・シーン)は鬱病を抱えている愛する妻サマンサ(ヘレン・ハント)とのコミニケーションに悩んでいた。
元人気歌手ヴァージニア・ファロン(デミ・ムーア)は不安定な精神状態にありアルコールが手放せない状態になっていた、それを見守る夫ティム・ファロン(エミリオ・エスデヴェス)との関係もギクシャクしていた。
ウェイド(ジョシュア・ジャクソン)とドウェイン(ニック・キャノン)はケネディー勝利を勝ち取るために 選挙本部で何日間も寝る間も惜しんで奮闘していた。
これらの人物が、ケネディーが予備選圧倒的勝利を迎え、祝賀パーティーへと集い、明るい未来をケネディーに感じ歓喜にわき、そして暗殺され歓喜の世界は一気に弾けてしまうまでが描かれています。
ホテルにいる人物の16時間のの切り取られた時間によって構成されたこの物語、個々の人生がどうだというのではなく、ベトナム戦争でなんとも悲しい陰の時代、その時代に現れたロバート・F・ケネディーが皆にとってどういう存在で、何を皆が求めていたのかを表現していたように感じます。
最後、衝撃の事件に至までの展開は素晴らしく、実際のその時の映像と入り乱れて映し出されるのを観ていると自分もその場にいるのではとさえ錯覚させるほどのパワーをもっていました。
ロバート・F・ケネディーという存在を前面に押し出すのではなく、TVで流れるボビーの演説、それに答える当時の人々の反応、画面の一部、や背景に流れているだけなのですが、この時代どれほど愛され、そして求められていた人物だったのかというのが強く伝わってきます。
日本人であり、また私が生まれる前に亡くなった人物ということもあり、この映画をみるまでにコブタ自身ロバート・F・ケネディーがどういう人物で、どういった政策を行おうとした人なのかもまったく知らず、兄に続いて暗殺された不幸な政治家としてしか知らなかったのですが、そのグローバルで人間らしく暖かい人格を感じさせるスピーチは聴いている人を魅了するものがあり、この人が死ななかったら、どれほどアメリカが素晴らしい国に変わっていったのだろうか残念でたまらない気持ちさせられました。
それと強く思ったこと、、アメリカってこの時代からもまったく何も変わっていたいんだなということ。
この中で描かれている、社会も問題、、まったく改善されるどころか、かえって悪くなっていて、同じ過ちをアメリカが繰り返していることを暗に伝えているこの作品、今この時代だからこそ作られたんだなと思いました。
他の群像劇に比べて、個々がパーツという感覚で、それそれのもつ役割はあるものの存在感は軽めにつくられていて、それより根底に流れるロバート・F・ケネディーという人物を浮き彫りにするための世界となっているので、群像劇として激しく人が入り乱れるといった様子を期待するとややガッカリすると思います。
もう少し個々のエピソードもっともっと深く楽しみたかったかなという不満はあるものの、映画としてなかなかおもしろかったと思います。
それぞれいい味をだし出過ぎずいい案配に演じていたとは思いますが、、、、シャロン・ストーン、、老けましたね(--;そこはビックリしました。
評価 ★★★★☆


監督 エミリオ・エステヴェス
出演 アンソニー・ホプキンス
デミ・ムーア
シャロン・ストーン
イライジャ・ウッド
リンジー・ローハン
ヘレン・ハント


この記事に対するコメント
隣の評論家さんへ
ううう 来てくださって嬉しいです(><)
エミリオ・エステベスさん いろんな意味で凄さを感んじる作品でしたね。。
この映画自身もそうですが、元婚約者と夫婦役を演じたり、さらに元婚約者の夫も出演させるというのも普通の神経では出来なさそうにも感じました(^^;
シャロン・ストーン、、なんか 玉手箱開けたの?というくらい老け込んでましたよね、、あのクビ、、わざわざメイクであそこまでするのでしょうか。。うーん謎ですね、、
TB&コメントをどうもです。
コブタさん、こんちわー。
コブタさんは初日から観に行っていたのですね。私は少し遅れましたけど、劇場は空いてたなぁ...。
>今この時代だからこそ作られたんだなと思いました。
のれない部分もあったと言えばありましたけど、この点は強く感じました。エミリオ・エステベスって、なかなかの才人なんですねー。
シャロン・ストーン、後半のパーティーでのドレスアップは美しかったけど。ピンクの制服?に付けマツゲばりばりのメイクは怖かったですね。首の皺もすごくて、おばあさんみたいでした。
ジグソーさんへ
これ 素敵な映画でしたよね!
表に出てこないのに、ボビーの人柄 そしていかに民衆から愛されていたのかが 伝わってきますよね!
多分今年度末、コブタベストムービーには確実にっべすと10に入るかなと思っています(^^)
どうも!
いや~これ僕大好きでした♪
ラストは思わず涙溢れてしまいました。
僕も本当にこのボビーと言う人をを知らなかったんですが、希望の星のような人だったんでしょうね。
にしてもこれがアカデミーにかすってもいないのは納得できないなぁ。
アメリカ人のためにあるような映画なのになぁ・・・
・・・そこら辺コブタミー賞で何とかなりません?(笑)
ai さんへ
あら、、娘さんが入院とは大変ですね(;o;)
早く良くなりますように(-人-)
アカデミー賞 映画好きな人にとって 予想して楽しむお祭りですよね!
いろんな映画人の、晴姿もみれますし!
たしかに まだ日本未公開な作品も多く、判断しにくいものもあるんですが、こんな映画もあるんだという楽しみ方もできますよね(^^)
「ハッピーフィート」 aiさんのお墨付きとあれば、さらに楽しみになってきました。
しばらくお会いできないのは寂しいですか、その間、映画面白いかつまんないかを調査しておきますね(><)
コメント欄間違えました(~_~;)
アカデミーの記事のコメントなのに間違えました。失礼しましたm(__)m
おひさしぶりになりました
私事ですが娘が2週間前から入院中のため、映画からもPCからも離れておりましたm(__)m
アカデミー賞発表は映画好きの者にとっては重大ニュース、これを見て作品も選ぶ所もありますからね。
未観の作品が殆どなのでさっぱりですが殆ど前哨戦どおりでしたね。
ただ作品賞は意外でした。アカデミー賞らしからぬ作風なのに。作品賞とっても最優秀男優賞がとれなかったディカちゃんはお気の毒(~_~;)
「ハッピーフィート」観てきました♪これ、大人もおススメです!
可愛くって可愛くって♪
またしばらくお邪魔できないかもしれませんがまたお邪魔しま~す♪