Date:2007/01/17 21:59
一ヶ月フリーパスチケットつかって観た最後の作品となったのは こちらの「愛の流刑地」でした。
映画14本+4本(再鑑賞)をタダでみた、、もっと活用すべきだったかなと ちょっと反省、、。
こちらは 渡辺淳一の同名小説を鶴橋康夫監督が映画化したもので、大人の究極の純愛を描いたと評判の作品です。
コブタ自身、、渡辺淳一さんの描く愛の世界ってどうも好きではなく、この作品に描かれている愛も、理屈では分かるけど感情では理解できないといった所はありましたが、構成がよくけっこう魅せる作品になっていました。
作家の松尾菊治(豊川悦司)は人妻である入り江冬香(寺島しのぶ)を情事の果てに首を絞めて殺害してしまう。
世間は痴情のもつれによる殺人と騒ぎたてるが、それは冬香の「愛しているなら私を殺してください」という願いを聞き入れての犯行だった。
逮捕、裁判をとおして、二人の恋愛の様子が浮き彫りにされていき、、菊治は冬香との愛を見つめ直していく、、という物語なのですが、二人だけではなく、二人のそれぞれの家族を描き、加害者家族 被害者家族の苦悩を描くとともに、かつて上司である男性との不倫の愛に苦しんだ過去をもつ女検事の織部(長谷川京子)の自分とは異なり愛を全うした二人を何ともいえない気持ちで見るめる視点を加え、二人の愛をいくつもの視点でみることでよりいろんな角度で菊治と冬香二人の姿をみせていくところはなかなか良かったです。
また 最初に冬香を死に至らしめるラブシーンを美しい朝焼けとともに見せ、それに裁判のやりとりの台詞をかぶせ、最初にこの映画の要素をすべて見せ、逮捕 裁判と進んでいく過程で 二人の過去を見せていくという構成がなかなか上手かったです。
また冬香に出会い作家としての創作意欲も沸きその関係に生を感んじる菊治、菊治に対して深く激しすぎる感情を抱き、死にたくなるほど愛していく冬香、同じ恋愛の中で男女で違う愛を感じている二人の姿もまた秀逸でした。
二人の愛は 不倫な上に最終的には殺人という形で幕を閉じたもので、世間的に受け入れられるわけもなく、どんなに深く愛し合っていたかも刑事(佐藤浩市)や弁護士(神内孝則)にも理解されない関係。そしてその愛の深さがどうだったからといって、罪の重さにどう影響するかというのは他人に計れるもなく、裁判の中で二人の愛が何だったかを模索する菊治を描いているのですが、やはり主演の豊川悦司と寺島しのぶの二人の演技が凄まじいです。
特に寺島しのぶ、、私自身はあまり顔は好きではなく美人とは思えないのですが、、この映画のヒロイン冬香の姿は凄まじかったです。
全裸のベットシーンに体当たりに挑戦というところではなく、恋を知りどんどん色気をもちどこか怪しくも美しくなっていくヒロインを見事に演じていました。
大人しいものの内に激しいモノを秘め、主人公をたまらなく惹きつけそして狂わしていくのも納得させるだけの説得力をもっていました。
そして ベットシーンも嫌らしいというより、綺麗に描いているので、この映画が文芸作品としての品を保っているように感じました。
また ラストにかかる平井堅の歌が、物語にマッチしてまた良かったです。
評価 ★★★☆☆
原作 渡辺淳一
監督 鶴橋康夫
出演 豊川悦司
寺島しのぶ
長谷川京子
仲村トオル
佐藤浩市
富司純子


この記事に対するコメント
睦月さんへ
睦月さんもこちら観られたんですね!
文学的な思想を色濃く感んじる作品でしたよね。
寺島しのぶさん、、やはり凄いですよね、、この先品での存在感。
菊治の中にジワーと浸蝕していくその存在の凄みを感じてしまいました。
ですよね ですよね 平井堅の歌、恐ろしいほど物語に合ってましたよね!思わず聞き入ってしまいました
こんばんわ!
そうなんですよね。
いやらしさというよりは美しさ・・・
現実的というよりは文学的な要素を強く
出していた作品だったと思います。
私も寺島さん、美人だとは思えないんですよね(苦)
でも、この作品の中ではやたらになまめかしくて
普通の人妻がどんどん愛に貪欲になっていく
変化を上手く演じていたように思います。
平井さんの歌も歌詞が内容とリンクしてて
とっても印象に残っています。
aiさんへ 出人さんへ
aiさんへ
たしかに、過激といったら過激な内容なんですが、、あまりそうは感じない、深さをもった静かな映画だと思いました。
寺島しのぶも ちょっと一般では分からない愛を説得力のある演技で示してしまうところが凄かったです。
これって 男女で そして 未婚者既婚者で味方がまた変わってその違いでも楽しめそうですよ(^^)
出人さんへ
たしかに 長谷川京子さんは、警察 弁護士 夫などに比べて 凄いキーとなる役割をしていましたよね。検事という立場でありながら 一番の二人の愛の本質を理解している役なんですよね。
長谷川さんの凄いのは、、豊川悦司 寺島しのぶ は二人で一つの愛を表現しているのですが、、長谷川さんは 一人で彼女がどういう恋愛をしたかを表現してることですよね。
彼女の美しさがまた、その恋愛を艶やかに彩り、そして 菊治と冬香の恋愛を引き立てる役割をしてたのを感じました。
脇役の
わたしも見ました。
ハセキョーは難しい役でしたよね。
ま、主役の二人に次ぐ重要な役だと思ったのですが、二人を食うことなく、わきまえてやってたという感じでしょうか。
DVD待ちですが
観たい作品だったりします。
過激なので映画館でじっくり鑑賞の勇気が無い(笑)のですが、殺人を犯す動機がとても気になるんですよね。
決して美人ではない女優さんですが、演技派ですよね。潔さにはいつも感心させられます。
究極の愛を感じられるのか・・
殺して欲しいと望む程の愛とはどんなものなのか、DVDで観てみたいです。