コブタの視線

一ヶ月フリーパスチケットつかって観られる映画はすべて観るぞキャンペーン第９弾は「大奥」でした。
こちらは　人気ＴＶドラマの映画化したもので、　江戸城にある大奥において女たちがその閉鎖的な世界の中でぶつかり艶やかに闘っていく姿を描いたもので、時代的には大奥第三部の華の乱の後にあたる内容になっています。

思った以上に楽しめ、また豪華女優人たちの演技においての競演ぶりがまた素敵でそこでも魅せてくれました。

七代将軍家継の時代、将軍とはいうもののまだまだ幼い子供の将軍の家継、、実権は家継の側用院　間部詮房が政を取り仕切っていた。
その時大奥にいるのは、前将軍家宣の正室天英院、側室の法心院、蓮浄院、そして　町民出身の側室であるものの将軍生母としての地位をもつ月光院。
正室天英院、側室の法心院、蓮浄院らは、前将軍の寵愛を最もうけ、そして現在将軍生母としての地位をもつ月光院に対して並々ならぬ敵意をお抱いていた、そこで間部詮房を面白く思わぬ老中秋本蕎知とともに、月光院の側近ともいえる大奥取り締まり役である絵島を陥れようという計画が進んでいた。という　物語を聞くとなんともドロドロしたものと思われがちなんですが、、、むしろみて感んじるのはすべての女たちに対する悲しさでした。。

大奥って元々異様な状況なのですが、ここで描かれている大奥は、彼女たちが愛を求め競った対象である将軍が亡くなった後で実質将軍不在で女達だけがいるというさらに異様となる状況です。
そんな中でそこに残された女たちにとって感情を向ける相手がどこにいくか、、結局現状もっとも輝いた地位にいる月光院を憎むことでしか自分の存在価値を示せないんですよね。

孤独の中で、優しい言葉をかけてくる間部詮房に身も心も依存してしまう月光院、子供が早世し自分のもとから将軍の寵愛を奪い　自分が失ったものをすべて持つ相手を憎むしかない正室側室、それぞれが感情的になっている女性たち、そして彼女たちをクールな視点で見続ける上臈御年寄の滝川　女中の宮路　取り締まり役絵島、という構図が非常に上手いんですよね。

女優たちが　それぞれの登場人物の背景をキッチリ踏まえて演じているだけに、一人一人のシーンはさほど長くなくてもしっかり単調でなく複雑な感情を表現しているので、観ている側を入り込ませる内容になっていました。

仲間由紀恵の存在感が聡明で芯をもった女性絵島によく合っていて　男女の愛を知らなず、愛に依存する月光院を見守り、そして自分が愛を知ったときも他の女性とは異なり彼女らしさを無くさず凜として行動していく様子は心地よさすら感じます。
その様子に　敵対していたはずの天英院や　滝川　宮路らの感情すらも動かしてしまう様子は圧巻でした。

ラスト付近の、歌舞伎座炎上から　それに続く展開にはやや強引さがあり　無理を感んじるものの女優たちの演技が素晴らしさがそれをなんとかカバーして　楽しめる作品になっていたように感じました。

評価　★★★☆☆

監督　林徹
出演　仲間由紀恵　
　　　　西島秀俊　
　　　　井川遥　
　　　　及川光博　
　　　　杉田かおる　
　　　　浅野ゆう子　
　　　　松下由樹　
　　　　高島礼子　
　　　　麻生祐未　
　　　　中山忍　
　　　　木村多江　
　　　　鷲尾真知子　
　　　　山口香緒里　
　　　　久保田磨希　
　　　　柳葉敏郎　
　　　　藤田まこと　
　　　　岸谷五郎