『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のアルフォンソ・キュアロン監督の新作、トゥモロー・ワールド観に行ってきました。
今年も終わりが見え始めたこの時期に、まだこんないい作品に出会えたことを嬉しく感じてしまいました。
人類が子供を誕生できなくなってから18年ほどたった世界、、人類未来への希望を失い、暴徒やテロが横行し次々と国家が崩壊していた未来の物語。
かろうじで国家の秩序を保っているイギリスは、国内の反乱政府組織と、世界中から寄せてくる不法入国者の排除とそれによる反発と、様々な問題を抱えていた。
エネルギー省に勤めるセオ(クライブ・オーエン)は、かつての妻であり反乱政府組織フィッシュのリーダーであるジュリアン(ジュリアン・ムーア)に頼まれ、キーという女性の輸送を手伝うことになる。
その少女はなんと、妊娠しており、ジュリアンは彼女を、世界の優秀な頭脳により結成された国境なき組織、ヒューマン・プロジェクトに送り届けるために行動をするが、その道中暴徒によって殺害されてしまう。
セオはジュリアンの意志を継ぎ、キーとそのお腹のなかの子を守るために過酷な旅を続けることになる、、。という物語です。
この作品、いままで描かれた世界終演の風景の中でも最も切なく希望のない風景なんですよね。
子供が生まれない 生物にとってこれほどの驚異の状況って他にあるのでしょうか?
普通どのような過酷な状況でも 生き残りさえすればそこでそこで子孫をつくり未来を開く道がみえるものなんですが、この世界ではそのことすら求めることのできない状況、、、
そんな世界で、繰り広げられる人間の愚かさと悲しさそして愛が切なく丁寧に描かれているんですよね。
国中の人から愛され世界最年少の18歳の少年を死に追いやったのも、ファンという男の自分本位な感情によるもの。。
18年ぶりに生まれてこようとする子供とその母親で妊婦を、無条件で守ろうとする動きと、それを利用しようとする動き。
激しい銃撃戦を赤ん坊の鳴き声が止めるものの、赤ん坊がそこから去ると再び闘いを始める愚かな状況、。
小さく弱い妊婦赤ん坊というささやかな希望の象徴と、それに驚異を与える悪意や狂気その対比が素晴らしく、物語の中にぐいぐい引き込まれてしまいます。
また クライマックス近くの6分間ノンストップで撮影されたという戦闘シーンも圧巻です。
希望はあるものの、その希望は小さなろうそくの炎のようなもの、、悪意や狂気といった風がふいてきたら消えてしまいそうなもの、、それだけに祈りにも似た気持ちでキーとその子供の未来を想わずにいられないそんな終わり方がこの映画の深さにもなっているように感じます。
激しく突き抜けるのではなく、深く感んじるそんな映画でした。
あとクライブ・オーエンいいです!!
派手さはないものの、渋い格好良さ、、深みや痛みをもった主人公を見事に演じていました。
ジュリアン・ムーアやマイケル・ケインもよい演技しているんですが、クライブ・オーエンダントツに光ってました。
この作品をみて益々好きになってしまいました。
評価 ★★★★☆
監督 アルフォンソ・キュアロン
脚本 アルフォンソ・キュアロン
出演 クライヴ・オーウェン
ジュリアン・ムーア
マイケル・ケイン







この記事に対するコメント
ジグソーさんへ
はい コブタは好きでした(^^)
たしかにハリウッドらしい派手さとか爽快なラストとかはないぶん 地味に思ってしまう人も多いのでしょうが、その分重厚さをもった作品だと思いました。
赤ちゃんが、この後、人類の希望として灯り続けるのかどうか、、それも観客の心の中で委ねられる余韻のあるラストの好きでした。
どうも!
コブタさんはわりと評価高いですね!
僕は大好きな映画でした。
公開時評判が悪かったんで行くの止めたんですが、行けば良かった!
皆さん宣伝に騙されたんですね・・・
にしてもあの長回しシーンはすごすぎですよね。
もう【擬似戦争体験】してるくらいにのめりこんでみてしまいました。
出産シーンもすごかったなぁ。
CGか実写かの判別が出来ませんでした。
睦月さんへ
こんにちは!
近未来を舞台にしたSF映画って、浮ついた設定で重さが出てこないものが多いのに、こちらの作品はしっかり地に足のついた無内容になっていましたよね!
また 個人的にクライヴ・オーウェンが好きなのもあって、彼の味を生かした作品だというものあったのかな(^^*)
TB&コメントありがとうございます1
こんにちわ。
余計な説明的な部分は一切排除した形で、徹底したリアル描写が秀逸な作品だったと思います。
環境問題などが取り出されている中で、実は人間自身にも大きな問題が待っているといった、決して素通りすることの出来ないメッセージ性が心に痛烈に迫る作品でした。
aiさんへ
そうなんですよね!!
クライブ・オーエンの派手さのない魅力が 世界をグッと引き締めてましたよね!
いい役者さんです。。痛み 苦悩をすべてをもっている人間くささがあったからこそ、、この映画のテーマが生きてましたよね(^^)
想像よりずっと良かった
赤ん坊を守るアクションバリバリのSFかと思っていたのですがずっと重厚な作品でした。ちょっとタイトルがありがちで損してるかも。
クライブ・オーウェン、その地味さが逆に本作にハマりましたね(笑)
ヒーロー的役回りなのに、疲労感と焦燥感が漂う一般市民って感じで。
長回しシーンと出産シーンは胸が熱くなりました。
未来は…
ラスト、黒バックに白文字が流れるエンドロールで、子どもの声がサラウンドでいっぱい聞こえてくるのがとてもとてもよかったです。それと、マイケル・ケイン!ジョン・レノンが死なないで歳をとったみたいなで、これもいい感じでした。イジョフォーも映画ごとに違うキャラで好演でした。
ちょっと前だったら未来はもっと違う描かれ方をしていたでしょう。お手本「ブレードランナー」でさえも、退廃を作っていた観があります。もう、本作にあるような未来しか、この先には残っていないのでしょうか。
ちゃどさんへ
はい 観てきました!!
クライブ・オーウェン好きですし、、物語も好きそうな内容だったんですよよ!!
あの 血しぶきがレンズについたままの 長まわし凄かったですよね!!
しかも、、アメリカとはちがった ヨーロッパの空気がまたいい味を出していますよね、、
NoTitle
コブタさんも観ましたか!
僕も昨日観てきました。
最初退屈だったんですが中盤からドキドキしっぱなしでした。長回しすごかったですね!
後でレビュー書こうと思ってマス。