「神よ」「愛してる」この言葉の重さを感じた映画はありませんでした。
2001年9月11日にアメリカで何が起ったかという事はもう説明するまでもないでしょう。
4機の旅客機がハイジャックされ、2機が世界貿易センタービルのそれぞれの棟に突入し、1機は国防総省ペンタゴン本庁舎に突入しまし、残り一機はホワイトハウスには突入せずペンシルバニア州で墜落しました。
あの日 そのテロの目標物に突入しなかったユナイテッド93便内で何が起ったか?というこの作品、5年というこの早さでの公開ということで、またエキセントリックにテロに対する憎しみを煽るためのアメリカのプロパガンダ映画なのかな?と一瞬思いがちですが、映画でき煽りや脚色が殆どなく、寧ろ冷静な視点であの日を振り返ったドキュメント映画的な作品でした。
この映画の中で結局管制官と空軍司令部は混乱した状況に追われるのだけで精一杯、そんな状況でユナイテッド93に乗っていた乗員乗客約40名はどうしたのか?
この映画は その混乱した管制室、空軍司令部の状況とともに、ユナイテッド93に乗員乗客が乗り込みそして事件が起り、墜落していくまでが描かれています。
乗員乗客全員が死亡してしまっている今、墜落前に乗客が家族にかけた電話と、墜落した機内で発見されたブラックボックスの音声から推測するしかありません。にも関わらず、この映画をみていると実際まったく同じ出来事が行われたのではないかと思わずにいられないほど生々しかったです。
この作品の凄いことは 管制官で働く人役を かなりの人数本人が演じていることで、非情にリアルなんです。
また 乗客も殆ど無名の俳優ばかりを利用し、自由に演じさせるということをしているらしく、ハイジャックが始るまでの気ままな様子から、乗客と乗務員が一段となってハイジャック犯に対して向かっていくまでの様子が、自然でそれだけに、苦悩や恐怖がストレートに伝わってきます。また緊張感に満ちた機内でのカメラアングルが素晴しく、まるで自分までがユナイテッド93に乗っているのではないかと思うほどの臨場感でした。
その40人が極限状態の中で数少ない情報を元に状況を判断し決意し、飛行機を取り戻すため(テロそ阻止するため)行動していく様子に、劇場内がいままでに内ほど緊張し誰も物音一つ立てることすらできない様子でみていました。
映画館という狭いシート そして前後に飛行機内と同じように人が座っている環境がまたよけいにそう思わせていたのかもしれません。
結局 政府でも 軍でもなく、あの日テロと戦ったのは、ユナイテッド93に乗っていた乗員乗客約40名だけなんですよね。
そして その乗っていた乗客 乗員 そしてテロリストまで全員が 絶えず口にする「神よ」「愛している」の言葉、どちら平和的な言葉なはず、その言葉がこのような状況で、テロリストと乗員乗客 両者から双方でてくることの不条理さを感じずにはいられません。
この作品 テロを描いているのですが、テロリストを悪とは描いていなんですよね。
むしろ 純粋な人たちにテロを行わせた 世界に問題があるように私は感じてしまいました。
これは、映画とかの枠超えた重さと強さをもった作品でした。
面白いとか 良い映画だから とかいう軽い言葉では紹介できませんが是非是非 今この時代だからこそ観るべき作品なのではないでしょうか?
評価 ーー不能ーー




監督 ポール・グリーングラス
出演 ハリド・アブダラ
ポリー・アダムス
オパル・アラディン
ルイス・アルサマリ
デヴィッド・アラン・ブッシェ


ユナイテッド93 | |
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この記事に対するコメント
mottiさんへ
コメントありがとうございます!
この作品は、コブタの中では 今年の映画ベスト10で 1位になりそうな衝撃の作品でした。
ワールドトレードは気になるのですが あちらがいかにもハリウッド映画的な味付けされていそうですよね、多分観たらそこそこ感動できると思うのですが、これほどの衝撃は多分無理なんでしょうね~
NoTitle
ワールドトレードセンターも気になりますね。
でも作りに商業的なものが入ってきそうで、結果的にユナイテッド93のほうが僕は良かったと言いそう...。
この映画は只々衝撃ですよね。
同じような事を感じたんですね
今日観て来ました。
すごかった・・・。とても辛く、力が入った作品で、衝撃的でした。
それでも何故このテロが起こったのかという自問自答が伺える・・監督も作りながらそれを常に心で叫んでいたのではと思えました。
映画の最中も・・そしてこのテロ事件からも目をそらしてはいけないですね。
ネットで広がる、もう一つの真実…
コブタさん、初めまして。
この映画の衝撃は大きいそうですね。アメリカ政府の「93便は墜落した」という公式見解を基にしてますが、この事件は日本の新聞・テレビが伝えない事実が沢山あるようですね。最新の米・世論調査では約4割の人が政府の9/11への関与を疑っています…。
「2001年9月11日にはテロは起きなかった・・・」とする、22歳のディラン・エイブリー監督が百万円以下で自主制作した、9.11 ドキュメンタリー「Loose Change=ルース・チェインジ」が全世界で波紋を広げてますが、既に二千万人以上がネットで観て話題です。
いまアメリカ国内では「9.11真相解明運動」が高まっていて、この現象を世界各国のメディアも続々と伝え始めています。
英語版なら色んな場所から、2弾=完全版を無料でダウンロードできます。グーグル版は「911 cover up」410MBと、著作権対策の「Recut」827MB。ZIPの「DVDripConCen」のSRTがグーグル版英字幕。詳しくは検索で。観ると目から鱗が落ちるかもしれません。真実に関心があればお薦めします。
http://www.loosechange911.com/download/trailer.wmv
http://www.wa3w.com/911/index.html
http://www.mypress.jp/v2_writers/hirosan/story/?story_id=1461254
隣の評論家さんへ
観られたんですね~良かったです!
この作品コブタの中で 今年ベスト3に入るのは間違えないくらいの内容なったので隣の評論家さんが観られて嬉しいです!
最近といわず人類の歴史において「神」の名をつかって戦いが起こることが多いですが、神や宗教って人を幸せに正しき道を示すためのものと思うし、そんな人殺しを推奨する神っていないと思うのですが、そのように使われるというのも悲しいですよね、、
コブタさん、こんにちわ
早速のTB&コメントありがとうございました。
観て来ましたです。日比谷スカラ座という拾い劇場が7割り程の大入りでした。関心だけではなく、口コミで評判が広まっているのかもしれませんね。
>「神よ」「愛してる」この言葉の重さを感じた映画はありませんでした。
本当に、この部分には鳥肌が立ちました。テロ行為が成功した事で神に感謝を捧げるテロリスト。違う神様であっても、ゾッとしました。
忘れられない1本です。意を決して観に行って本当に良かったです。以前、迷いの記事にもご意見を頂き、ありがとうございました。
swallow tailさんへ
この映画は なんとも色々考えさせられるものの、自分の中での答えをだせない作品ですよね。
神と愛の言葉 両方は本当はピースフルな言葉なはずなのに、、この状況になってしまっている世界。
人を殺すことを奨励している神って いないと思うのですが、なんでその神の名の下で人が殺され、そして悲しい連鎖が続いてしまうのでしょうね、、
乗客たち
コブタさん、おはようございます。
みなさん、この作品に対しては同様の感想をお持ちのようですね。
>結局 政府でも 軍でもなく、あの日テロと戦ったのは、
>ユナイテッド93に乗っていた乗員乗客約40名だけなんですよね。
あぁ、そうだ、そう思いました。
同じように神を崇め、人を愛する人間なのに
一体何が彼らをテロに走らせたのか・・・
スワロの中ではまだこの事件をうまく消化できずに、
頭の中で混乱しています。
カオリさんへ
コメントありがとうございあmす!
この作品って、鑑賞というより、9.11を目撃させるという意図のもとに作られている感じですよね。
そうなんですよね「何故こんなことが!?」とこのような状況に至った経緯を知りたくなってしまいますよね。
もう5年 まだ5年 この月日どう考えるかは人それぞれだと思いますが、逆にこの時間だから生々しい9.11を描けたのはないのかな?と思いました、
真摯
こんばんは。
私も、中立性を保った作品だと思いました。とにかく、何が起こったのかを発掘しようと。
しかし、本当は「何故?」を考えなければならないんですよね。
5年と言う歳月が長いのか短いのか。でも、真摯な思いが伝わってくる作品だったと思います。
睦月さんへ
こちらでお話するのはお久しぶりなのかな?(^^)
いつも 睦月さんのブログ拝見しているので 私はそこまでお久しぶり感少ないのですが(^^)
今年は ルワンダに始り、色々映画という枠を超えて 色々考えさせる作品がでてきていますよね。
この作品、最後の方のシーン 震えながらみていました。
ノラネコさんへ
ノラネコさんは お友達をあの事件で亡くされているだけにこの作品はさらに複雑な作品だったのでしょうね。
>愛の言葉と神の名は重かったです。
>どちらも本来深い慈愛を持つ言葉であるはずなのですが。
そうですよね!そのはずの言葉が 別れの そして恐ろしい行為の際に使われるということが、なんとも言えない気持ちにさせられてしまいますよね。
TB&コメントありがとうございました。
こんばんわ!コブタさん、ちょいとご無沙汰しておりました・・・すんません。
≫乗客 乗員 そしてテロリストまで全員が 絶えず口にする「神よ」「愛している」の言葉、どちら平和的な言葉なはず、その言葉がこのような状況で、テロリストと乗員乗客 両者から双方でてくることの不条理さを感じずにはいられません。
コブタさんのこの一文。睦月も一字一句違わぬ全く同じことを思いました。
それでもテロリストを同じ一人の人間として描いた監督の誠実な目線には、グっとくるものがあります。
この作品から目をそらさずに出来るだけたくさんの人に観てほしい・・・そう思います。
こんにちは
この映画は、あの日、あの事件を目撃したすべての人々にとって、自分にとっての9.11の検証という意味のある作品だったと思います。
正直この映画が作られると聞いた時、不快感を感じたくらいでしたが、結果的には観てよかったと思います。
愛の言葉と神の名は重かったです。
どちらも本来深い慈愛を持つ言葉であるはずなのですが。