永遠に未完のライブのメイキングドキュメント。
とはいえ この作品のいい所は マイケルの死を前面に押し出さずあくまでもライブのメイキングという形をとっていることです。
だからこそ、最高のライブを作ろうとしているマイケルとスタッフの気持ちがストレートに伝わってきます。
本編なきメイキング映像というのは、テリー・ギリアム監督作品の『ロスト・イン・ラマンチャ』、舞台目前に非業の死を遂げた天才というとジョナサン・ラーソンの『RENT』DVDの特典映像などあるのですが、この作品がコレらの内容よりも切ない。
理由はテリー・ギリアムはまだ生きていて、創作活動を元気に続けていますし、
ジョナサン・ラーソンは作曲家で脚本家であるため舞台という作品は完成していた為に死後も無事公演され観客に想いを伝える事ができています。
この『THIS IS IT』を観てしまうとテリー・ギリアムとジョナサン・ラーソンは自分の渾身を込めた作品を世に送り届けることができるという意味で幸せだと思えてしまいました。
【ストーリー】2009年6月、1か月後に迫ったロンドンでのコンサートを控え、突然この世を去ったマイケル・ジャクソン。照明、美術、ステージ上で流れるビデオ映像にまでこだわり、唯一無二のアーティストとしての才能を復帰ステージに賭けながら、歌やダンスの猛特訓は死の直前まで繰り返されていた。(シネマトゥディ)
この作品自身の、ハッキリいうとライブメイキングでしかなく、マイケル・ジャクソンが観客に見せようとした舞台の完成予想図を感じることはできても、彼が求めた完成への向けての途中見せてくれるもの。
パフォーマンスに酔い盛り上がるというより、冷静な目でアーチストが舞台を作り上げていく様子を静かに見守る感じです。
ライブに対する熱意、そして素晴らしい映像を盛り込んだライブの魅力が伝わってくるだけに、完成した姿が絶対に見ることが出来ないことに観ているうちに切なさが積もってきます。
映像の中でマイケルの存在感を感じれば感じるだけに、もうこの世に彼がいないという事実を突きつけられます。
この作品は、世界が観たかったマイケルは スターであるマイケルであることを思い出させてくれます。
そしてマイケルはまだまだ彼のダンス・歌・パフォーマンスで人を魅了する力を失ってなかったことも教えてくれます。
それだけに、何で今マイケルはこの世にいないのか!と憤りすら覚えるのは私だけでしょうか?
そういう意味でも、昇華しきれないモノを残してしまうこの作品。
オオブタさんと私は『マイケル・ジャクソン ライブ・イン・ブカレスト』のDVDを観て気分を盛り上げました。
コチラ、『THIS IS IT』にかなり収録曲も近く、このブカレストのライブでも同じように熱意をもってリハーサルを重ねていた陰の姿感じるのと同時に、『THIS IS IT』の完成に近い姿を楽しむことができます。
『THIS IS IT』観ることにより単なる ライブビデオを見て 盛り上がるだけではなく深く世界を感じ『マイケル・ジャクソン ライブ・イン・ブカレスト』がますます面白いDVDになります。
でも、『THIS IS IT』『マイケル・ジャクソン ライブ・イン・ブカレスト』でマイケルを感じれば感じるほど、、世界がら消えてしまったという喪失感を強まってしまいますよね。
【オオブタさんの一言】この作品を楽しむというか 本物のライブを楽しみたくなる。
やりたかった姿が見えるだけに、それが観ていて悔しい。
天才マイケルといえども、ライブを作り上げるためにあそこまで練習していることに驚かされる

監督 ケニー・オルテガ
振り付け トラビス・ペイン
音楽監督 マイケル・ビアーデン
プロデューサー ランディ・フィリップス
出演 マイケル・ジャクソン
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この記事に対するコメント
ノラネコさんへ マサルさんへ
ノラネコさんへ
コメントありがとうございます!
私も同じ世代!それだけに同じように熱いもの込み上がりまくりでした!
この映画、マイケルの歌やダンスを楽しむよいうより 彼の演出能力を楽しむというところがありましたよね!
静と動を巧みで、どうすれば観客を喜ばすことができるのかを本能で分かっていて、またその意図をスタッフに的確に伝えるkとおができる、そういったやりとりがまた見物でした!
この映画みてしまうと、、この本編がない!ということが、今更のように悔やまれてしまいますよね(><)
マサルさんへ
こんにちは コメントありがとうございます!
実はオオブタさんも、マサルと同じような事をいってまして、ライブに近い形でのマイケルをみれるものと思っていたようです。
そういう意味ではがっかりしてしまうところがありますし、映画自信も極力ライブのリハーサル映像を世間の目から隠し、世間のマイケルの最後の姿を一目見たい!という欲求をあおってから出してきたという意味でもかなり狡い気もします。
でも、、このリハーサルドキュメントによって、今まで見れなかった演出家としてのマイケルの姿を見ることができた意味でもかなり価値があったと思います。
でも、、この姿って完璧主義のマイケル自身が世間に見せたいと思う内容ではないのでしょうね、、
そういう意味でも、、見て この世界にもうマイケルがいないんだ!というのを強く感じさせてしまう映画ですよね、、。
こんばんはー
こんばんは、ご無沙汰してしまいました。
この作品、私は「マイケルの死ということをとりあえず置いておいて、単なる音楽作品として観賞しよう」などと思ってしまったものですから、後半はちょっとダレてしまったのですが、しかしそれはちょっと誤った観方だったなと今さら思ったりもしています。そもそも、「マイケルの死」という前提がなかったら成立しえなかった映画を、それ無しに観ようというのが間違っていたかも知れませんね。
ただ、やはり後半の環境問題を絡めたマイケルを伝説化・神格化させようという恣意性を感じてしまう演出には、マイケル自身ではなく彼の周囲にいる「彼にたかろうとする人たち」の意図を強く感じてしまい、ちょっと興ざめしてしまった次第です。
いずれにせよ、リハーサルとは言え、マイケルの声や動きは見事で、「あぁ、一度は生で観てみたかった。」と強く思わざるをえないものでしたね...。亡くなったことが本当に残念でなりません。
こんばんは
ど真ん中のMJ世代としては、熱いものの込み上げてくる映画でしたね。
物作りにどこまでも真摯な彼の姿というのは、今まで意外と紹介されていない気がするので、新鮮でした。
この映画を観て本番がムチャクチャ観たくなるのがまた切ない。
最高の追悼映画だと思いますが、ちょっと罪作りな作品でもありました。